2026.06.27
Saturday
沖縄の染と織|大城幸司さんと出会って
[ 2026 かなさ綾布展 ]

大切に残している壁上布。お二人の名前が記されています。
丸正織物工房三代目の大城幸司さん。
東京でアパレルの仕事を経験したあと、
沖縄へ戻り家業を継がれました。
私が出会った頃は、
工房を継いでまだ数年ほどだったと思います。
ちょうどリーマンショックの影響もあり、
着物業界全体が厳しい時代でした。
工房の仕事だけでは生活が成り立たず、
早朝のアルバイトをしながら織物づくりを続けていたそうです。
当時は初代の大城敏さんもご健在でした。
大城さんはよく、
「オバァからいろいろ教えてもらっているんですよ」
とうれしそうに話していました。
受け継がれてきた技術を学びながら、
自分自身の織物も模索している。
そんな姿がとても印象的でした。
そしてある時、
「アルバイトを辞めることができました」
と、大城さんから電話をいただきました。
大城さんは覚えていないかもしれませんが、
私はその電話が本当にうれしかったことを今でも覚えています。
作り手が織物だけで生きていくことが、どれほど大変なことか。
今もそのことは変わらないと思っています。
だからこそ、
あの電話は私にとって特別な出来事でした。
今振り返ると、
この頃からすでに大城さんは、
自分の織物を作ろうとしていたのかもしれません。
そして丸正織物工房の織物は、
少しずつ変わっていきます。
私もまた、
その変化を楽しみに見続けることになりました。
おてしおの72候 「小暑」でも、大城さんの着物と宜保さんの帯をご紹介しています。



