
今回も、小樽・瀬塚商店のイベントが無事に終了いたしました。
暑い中ご来店くださった皆様、本当にありがとうございました。
今回は、初めて真夏に開催した防寒草履の受注会。
まだ暑いこの時期に防寒草履?と思われた方もいらっしゃったかもしれませんが、三日間を終えてみると、改めて着物を着る時の「足元の大切さ」を、皆様にも感じていただけたような気がしています。
ちょうど、すすきの祭りと重なったこともあり、足に合った下駄をお求めになる方。
いただきもののアザラシの防寒草履を持って、鼻緒を替えにいらした方。など
今回も、おかげさまで賑やかな三日間となりました。
お客様とお話をしながら、一足一足、足に合わせていく瀬塚さん。
やはり、瀬塚さんの仕事の丁寧さと、嘘のない仕事は、いつ見ても気持ちがいいものです。
そして今回、もうひとつ、とても嬉しいことがありました。
最終日の後片付けに、瀬塚さんの息子さんが手伝いに来てくれました。
お会いするのは、小学生の頃以来。
なんと18年ぶりです。
すっかり素晴らしい好青年になられて、就職も決まったとのこと。
テキパキと後片付けを手伝いながら、瀬塚さんがその場にいない時、ふっと、
「同じ仕事を60年続けている父親がすごい」
と、呟くように話してくれました。
これから社会に出て、自分も仕事をしていく。
そんな自分のこれからと、お父様が歩いてきた60年を、どこかで重ね合わせていたのかもしれません。
その言葉を聞いて、私は少し目頭が熱くなりました。
長く仕事を続けるということ。
その仕事を見ている人がいるということ。
そして、それがいつの間にか次の世代にも伝わっているということ。
三日間のイベントの最後に、とても良いものを見せていただいたような気がしました。
三日間、本当にありがとうございました。
次回、小樽・瀬塚商店さんにお越しいただくのは、
12月3日(木)〜5日(土)です。
その頃、札幌はもう冬の中。
また皆様と、冬の足元のお話ができることを楽しみにしております。
▶︎ 小樽・瀬塚商店について、これまでのお話はこちらから
明日から、小樽・瀬塚商店「夏の履物展・防寒草履受注会」が始まります。
今日は、ぜひ知っていただきたい「見えない仕事」をご紹介します。

この写真は、防寒草履の裏側です。
普段、履いている時にはほとんど見ることのない部分です。
実は、この裏側に、瀬塚商店さんの仕事へのこだわりが隠されています。

その違いが、この金具です。座金です。
近年、北海道では道路に散布される融雪剤の影響で、鉄製の釘や金具が錆びやすくなっています。
錆は足袋を汚してしまうだけでなく、防寒草履そのものの寿命にも影響します。
だから瀬塚商店さんでは、お客様に長く安心して履いていただけるよう、鉄製の釘や金具を、錆びにくいステンレス製へ特別に料金を取らずに取り替えて仕立てています。
履いてしまえば見えなくなる部分ですが、こうした見えないところにまで手を掛ける仕事こそ、瀬塚商店さんのものづくりなのだと思います。
派手ではありません。
けれど、長く履き続けたとき、その違いを実感していただける仕事です。
そのような瀬塚さんの仕事に、私はいつも感心して尊敬しています。
明日から3日間、瀬塚商店さんご本人が在店されます。
防寒草履のことはもちろん、夏草履や下駄など、足元のことなら何でもお気軽にご相談ください。
また、瀬塚商店さんとの出会いや、ものづくりへの思いについては、ホームページのブログでも綴っています。
ぜひ、あわせてご覧ください。

「防寒草履は秋になってから。」
そう思われる方が多いと思います。
もう長くお店をしていますと、雪がちらついてからご相談をいただくことが多いのも事実です。
防寒草履は、サイズやデザインをお選びいただくものですし、決して安いお買い物ではありません。
そのため、とりあえずリサイクルショップで足に合わないものを選んだり、ブーツで冬を過ごしたりする方も少なくありません。
私は、着物だから何が何でも防寒草履でなくてはいけないとは思っていません。
でも、お着物の時は、洋服以上に転びたくありませんよね。
これは雪国で暮らすすべての人の願いだと思います。
だからこそ、お着物の時には、ご自分の足に合った防寒草履をおすすめしたいのです。
今回、真夏に防寒草履受注会を開催するのも、少しでも早く防寒草履をご覧いただき、冬の足元についてご相談しながら、お客様に合った一足をお選びいただきたいと思ったからです。
また、ご注文いただいた防寒草履を、できるだけお求めやすい価格のうちに、お客様のお手元へお届けしたいという思いもあり、瀬塚商店さんにお願いして開催することとなりました。
もちろん、真夏の開催ですので、防寒草履だけではありません。
下駄やパナマ草履など、夏の足元もあわせてご覧いただけます。
盛りだくさんの内容ですが、着物や帯と同じように、本当に良いものほど年々数が少なくなってきています。
おてしおでは、お客様にできるだけ良い本物を、適正な価格でご紹介したいと考えています。
ぜひ、この機会にご覧ください。
この夏だけの、初めての受注会です。
冬になってからでは間に合わないこともある防寒草履。
今年の冬を安心して迎えるために、ぜひこの機会にご相談ください。
また、瀬塚商店さんとの出会いや、お仕事をご一緒するようになった経緯は、こちらのブログでもご紹介しています。
▶︎ 「瀬塚商店はじまりの話」
▶︎ 「瀬塚商店さんの仕事」

長く瀬塚商店さんとお仕事をご一緒させていただく中で、私が一番学ばせていただいたのは、履物に対する姿勢と、お客様に対する正直さです。
おてしおでは、「長く履いていただきたい」という思いから、本当に良いと思える履物をご紹介しています。中には決して安くはないものもあります。
だからこそ、展示会をお願いした最初の頃から、瀬塚商店さんには一つだけお伝えしていた事がありました。
「お買い上げいただいた履物は、これからも責任を持ってメンテナンスをしていただきたい。」
その思いを受け止めてくださり、毎年展示会にお越しいただいています。
もちろん、おてしおでお求めいただいた履物だけではありません。他店で購入された下駄や草履でも、お持ちいただければ、できる限りお直しをしてくださいます。
そんな瀬塚商店さんの仕事を象徴する出来事がありました。
ある日、お客様が、他でいただいた草履を持ってお店にいらっしゃいました。
お客様は、「もう古いので、新しい草履にした方がいいかもしれません」と思われていたのです。
ところが瀬塚さんは、草履の台をじっくり見て、
「これは、まだ直せます。十分履けますよ。」
とおっしゃいました。
反対に、お客様が「直して履きたい」と希望されても、合皮の草履や、修理をしても長く履けないものについては、
「これは修理しない方がいいですよ。」
とはっきりお伝えします。
売るためでもなく、
修理を増やすためでもなく、
お客様にとって何が一番良いのか。
そのことだけを考えて仕事をされている姿勢に、私は何度も頭が下がりました。
だから私は、安心して瀬塚商店さんの履物をご紹介し続けています。
小樽・瀬塚商店さんとの出会い

妻皮付きの下駄
小樽の瀬塚商店さんは、小樽で創業110年を迎える老舗の和装履物店です。
現在は、毎年3回、「おてしお」で履物展を開催していただいています。
初めて瀬塚さんに展示会をお願いしたのは、前のお店「oteshio」の頃。今から18年前になります。
実は私は、着物だけでなく履物も大好きです。
当時は東京や京都の履物屋さんとお付き合いしていましたが、北海道では欠かせない防寒草履や冬の下駄が、どうしても思うように揃いませんでした。
「どこか良い履物屋さんをご存じありませんか?」
そんなふうに、会う人ごとに聞いて回っていたのです。
そして、ご紹介いただいたのが、小樽の瀬塚商店さんでした。
そう思っていた矢先のことでした。
『日本のおしゃれ72候』にも書きましたが、電車の中で、爪革付きの下駄を履いていらっしゃる方をお見かけしたのです。
あまりにも素敵だったので、思い切って、
「どちらでお求めになったのですか?」
と、お聞きしました。
すると返ってきたのは、やはり 「小樽の瀬塚商店です。」 というお返事でした。
「ああ、やっぱり瀬塚さんなんだ。」
そう思った私は、瀬塚商店さんに展示会をお願いしようと決めたのでした。
瀬塚商店さんとの長いお付き合いは、ここから始まりました。
次回は、一緒に仕事をさせていただく中で感じたことをお話ししたいと思います。



