江戸小紋|三田村さんの見る目

着物 乱菊の地紋に「お召し十」 「お召し十」・・徳川の定め小紋の模様のこと。
三田村さんと仕事をするようになって、18年。
長いお付き合いの中で、ずっと変わらないなと思うことがあります。
それは、目先の利益ではなく、いいものを届けようとする姿勢です。
三田村さんは江戸小紋をつくる人であると同時に、コーディネートをする人でもあります。
お客様がいらっしゃると、その方を見て、着物や帯を選ぶ。
それが、とても早い。
初めてお会いした方なのに、三田村さんがさっと選んだものが、その方に驚くほどよく似合うことがあります。
以前、そのことについて話していた時、三田村さんから聞いたのが、
「ものを選ぶ眼」
という言葉でした。
長く着物を見て、たくさんの人を見てきたからこそ身についたものなのでしょう。
でも私は、それだけではないような気がしています。
三田村さんのコーディネートは、着物から始まるのではなく、「人」から始まる。
この着物が素敵だから、この人に着てもらいたい、ではなく、
この人なら、何が一番素敵に見えるだろう。
そこから選んでいるように思うのです。
着物は不思議です。
同じ一枚でも、着る人によってまったく違って見えることがあります。
だから、ものだけを見ていても、いいコーディネートにはならない。
「人があってのコーディネート」
18年間一緒に仕事をしてきて、私が三田村さんから感じてきたのは、そんなことです。
そしてもう一つ。
三田村さんの着物には、どこかスポーティーな感じがあります。
江戸小紋という、とても細やかで伝統的な染めなのに、堅苦しくない。
すっきりとしていて、着る人が自然に見える。
最初に京都の小物屋さんから、
「上野さんにぴったりの江戸小紋屋さんがいる。同じ体育会系だから」
と言われた意味が、今なら少し分かるような気がします。
着物も、人も。
余計なものを足しすぎず、その人らしく。
18年経った今も、三田村さんと一緒に仕事を続けている理由は、案外そんなところにあるのかもしれません。
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